Camino de Santiago

巡礼者との対談/明日の夢 Yuta Sawada

第6章 スペインでみる夢

編集F:
話は変わりますが、いつかスペインでバルを経営するんですよね?
澤田:
そう思っています。
編集F:
その場合、どこの土地にします?
澤田:
バジャドリッド、留学生のとき住んでいた町ですね。知り合いもいますし、そこが好きですね。語学学校があるんですが、この町に日本人は一人も住んでいないんです。大きな町だけど観光地でもない。だけど僕にとって、本当にスペインの生活が味わえるのはここなんですね。言葉もあんまり訛りがなく、カステジャーノっていう言葉、スペインで一番きれいな言葉で話されてる所なんですよ。
編集F:
標準語って感じですか?
澤田:
日本ではこれがスペイン語なんですね。学校で学ぶスペイン語はこれなんです。この言葉が話せれば、スペインでは、どこでも困らないです。
※編集部注/カステジャーノ
スペインでは異なる文化を持つ地方が集まって国を形成している。各地方は固有な文化と言語を持っているが、フランコ政権時には全国でスペイン語(カステジャーノ)を話すことが強制された。現在はどこでも独自の言語とスペイン全土の共通語としてのカステジャーノ(日本で言うところのスペイン語)が使用されている。ガリシアにも固有の文化と言語があり、ガリシア自治政府によって治められているが、政権を持つ政党の方針によって、ガリシア独自の文化を強調するのか、中央に合わせていくのかバランスが変わっていく。これは言語の使用状況にも影響している。ガリシア語はポルトガル語と語源が同じで、基のラテン語に近い形が残っている。
編集F:
どんな仕事を考えていますか?
澤田:
日本料理ですね。でも大きな店の経験はないので、日本でいう居酒屋スタイルで、やりたいんですね。バジャドリッドは人口35万人ぐらい、スペインでは大きな町のほうです。また人口に対するバルの軒数もスペインでは一番多いらしいんですよ。でも日本料理店はないんです。
編集A:
スペインでは日本料理がはやってるから、成功する可能性は十分ありますね。
澤田:
そうですね。町で一番お客さんが入っているバルのオーナーと仲良くなったんです。彼も応援してくれるそうです。
編集T:
それは心強いですね。
澤田:
だから、今いろいろ料理を作って、むこうの人たちに食べてもらっています。これならいけるとか、これはあんまりよくないとか話しています。それで一生懸命お金も貯めてるんですよ。なかなか貯まらないんですけどね。
編集A:
昔のスペインは「物価が安くて、食べ物がおいしくて、人がいい」ところでした。ユーロになってから、EU基準で物価があがったのに、収入は変わらず、現地の人には厳しい情況です。でも日本人にとってスペインは上昇気流にあるし、外国人相手の日本のお店もうけているので、とてもいい情況だと思います。
編集F:
ところで奥さんは平気なんですか?いいって言ってるんですか?
澤田:
もう、もの凄くスペインが気に入っています。僕よりも、です。
編集F:
あ、そう。もう暮らしてもいいと。
澤田:
そうです。彼女の方が、早く行きたい、早く行きたいって言ってます。
編集F:
じゃあ、スペイン語の勉強もしてます?
澤田:
スペイン語は、むこうで勉強しただけですね。
編集F:
奥さんも話せるんですか、少しは。
澤田:
7ヶ月か8ヶ月ぐらいいただけなので、今は忘れちゃって、話せないですけど、言ってることはわかるようです。
編集F:
若い人は世界にむかった方がいいですね。日本も暗い迷路に入りそうだし。
澤田:
まあ学生時代にいたから親近感もあるし、僕にとっては、むこうにいる方がなにかいい感じですね。
編集A:
日本人は少ないほうが逆にいいですよ。そこで仕事さえできれば。
澤田:
そうですね。僕も素人なので、どこまでうまくやっていけるのか、わかりません。手続きとか、法律とかいろんな所で引っかかると思うんです。でもそろそろ出発する時期かなと思っています。
編集A:
奥さんは、どこでスペインが好きになったんですか?
澤田:
僕がスペインから帰ってきたとき、彼女はイギリスに留学するために、お金を貯めていたんですね。スペインの話を聞いているうちに、彼女もスペインを見たくなって、先にスペインに行ったんです。スペインに2ヶ月ほどいて、それから2人で巡礼にでたんです。それからですね。
編集T:
それって新婚旅行じゃないですか。
全員:
(笑)