Camino de Santiago

巡礼者との対談/明日の夢 Yuta Sawada

第4章 道中

編集F:
今度は道中の話なんですけど、2回目、奥さんは無事に行けたんですか?
澤田:
行けました。スニーカーは、もうボロボロでしたけどね。
編集F:
ああ、そう。じゃ精神力で踏破したんですね。
澤田:
そんな感じですね、最初はマメができ、足の裏の皮がむけ、筋肉痛で苦しみますよね。でも一週間もすれば足も固まってくるし、マメも治ります。あと筋肉もついてくるのでスニーカーでも大丈夫です。
編集F:
筋肉がついてきますか。
澤田:
びっくりするぐらいつきますね。ふくらはぎとかもパンパンになります。
編集F:
リハーサルするとき、一日にどのぐらい歩きましたか?
澤田:
1日20 km.くらい歩きました。僕が住んでいた町に、学校の先生が20 km.くらい先の村から車で通っていたんですね、その先生の家に、ごはん食べさせてもらいに歩いて行きました。
編集F:
20 km.ぐらいを、どれぐらいの時間で歩きますか?
澤田:
僕の足は速いほうだと思うんですが、1時間で大体5 km.です。
編集F:
巡礼では1日、20 km.から30 km.歩くって言われていますよね。
澤田:
平均するとそのぐらいだと思いますね。
編集F:
ロンセスバージェスからサンティアゴまで750 km.とすると、25 km.平均で30日間の旅ということになりますね。
澤田:
毎日、20 km.は最低、歩いていたと思うんですね。元気なときは42、3 km.歩いた日もありました。村は、だいたい5 km.ごとにあります。難所で有名なところで、17、8 km.なにもないところがあるんですけど、それ以外は6.5 km、1.5 km、4.4 km.そういう感じです。
編集F:
宿を取るためのポイントは、まず早朝から動くってことですよね。
澤田:
そうです。早い時間に到着することですね。
編集F:
それは何時頃ですか。
澤田:
早くて、お昼の12時とか1時ぐらいですね。宿も掃除とかしてるんで、1時ぐらいになって開けるという感じですね。そこでその宿に決めます。
編集F:
決めたら、当然そこで泊まるわけですよね。ということは1時から夜までずいぶん時間あるじゃないですか、そこで何をしてるんですか。
澤田:
スペインでは2時か3時がお昼の時間なんですね。1時に着いたとしたら、まあシャワー浴びますよね、それから洗濯して、干して、着替えて、町に食事にでかけます。
編集A:
スペインの昼食って2、3時間食べているので、だいたい5時ぐらいまで。夕食は遅いので、夜の10時から11時頃ですね。
澤田:
まあ、でもだいたい2時ぐらいに行って、3時ぐらいには食べ終わって、あとコーヒーでも飲んで、5時ぐらいにアルベルゲに戻って、今度はシェスタ(昼休み)ですよ。
※編集部注/スペイン時間
一般の商店は昼休みが2時から5時ぐらいなので、この間、店は閉まっている。5時ぐらいから店を開き、夜の8時ぐらいまであけている。逆にレストランは2時から始まるので、2時前に昼食をとろうとしても食べられない。薬屋やバル(BAR/居酒屋)や大きなスーパーは休みなしで開店している。
※編集部注/バル(BAR)
レストラン、喫茶店、定食屋、居酒屋の機能をすべてあわせた感じのお店。朝から夜まで開いている。飲み物はコーヒーやビール、軽食はタパス、サンドウィッチ、クロワッサン、一品料理などでカウンターに注文する。ウェイターがテーブルに注文を聞きに来る場合もある(料金は高くなる)。昼はランチセットのようなメニューが提供される。
澤田:
昼食してから宿に帰ってきて、昼寝。夕方5時か6時頃、涼しくなってきたぐらいから、その泊まる町を見て歩いたり、日記つけたりします。8時とか9時ぐらいになると、向こうの人は人なつっこいんで、雄太いっしょにごはん行こうよ、なんて言ってくるので、一緒に行って、軽く飲んで、なんかつまんで、10時ぐらいには帰って寝ます。巡礼道を歩いてると、みんな顔もわかってくるので、仲間になってくるんですね、日本人は珍しいし、スペイン語も話せるというわけで、ずいぶんみんなと親しくなりました。
編集F:
早朝に起きるのはどうですか?
澤田:
僕は5時には起きてましたね。それは早い方ですね。7時まで寝てる人もいます。6時ぐらいには出発する感じですね。ただ大きいアルベルゲでベッド100人分あるところもあれば、20人分ぐらいしかないところもあるので、早く着いても、もう受付に行列ができてるとか、そういうこともあるんですよ。

予算

編集T:
全部で費用はどのくらいかかりましたか?
澤田:
どうでしょうね。2回目ですが、一人分で計算すると、外食のランチでだいたい7ユーロ、夜は飲んで、食べて10ユーロぐらい、あと宿泊で3ユーロぐらい、すると一日で20ユーロくらいですね。
編集A:
ざっと2、3千円ですね。
澤田:
3千円は使ってたかもしれないですね。そうすると、31日間の旅行で、やっぱり10万円ぐらいはかかってるんでしょうね。高かったな、という印象です。1回目は通貨がペセタの時代だったんで、ランチも安かった。
編集A:
その頃はランチも3、4百円くらいじゃなかったですか?
澤田:
そうですね。それに泊まるのも無料のところが多かったので、一日、千円ぐらいで過ごせたと思いますね。やっぱり1回目と比べて2倍にはなってるんじゃないですかね。

観光

編集T:
観光はどういう風に行程に組み入れたんですか?
澤田:
泊まる所で見たいところがあれば、夜見に行きます。日中、通る村でも村の教会など見に行きました。何世紀も昔の古い家を見て歩くだけでも、すごく楽しいですよ。地震がないせいか、石を組み合わせただけのものが2千年も倒れずに残ってるんですからね。
編集T:
古い建物がいいですか?
澤田:
建築が好きな人は、見ただけで、ああこれはバロック様式だとかなんだとか、自然にわかるようになってくるそうですね。そういうところから旅するのも楽しいと思います。旅の楽しみと言えば、ひまわりもいいですよ。夏のひまわり畑はホントにきれいですから。

ひまわり畑

編集A:
ひまわり畑ってスペインの田舎の典型的な風景ですよね。
澤田:
そうですね。2回目のときは、8月の終わりだったので、萎れてきてましたが、1回目のときは全盛期でしたね。
編集A:
ひまわりは全員、太陽のほうを向いているので、後ろに回ると、背中が見えるんですよ。あれって、けっこうおかしい。
澤田:
誰かがやったいたずらみたいでしたけど、ひまわりの種を上手に抜いて、矢印の形に書いてありました。
全員:
(笑)
※編集部注/観光の時間帯
日本とはかなり異なる。例えば美術館、2時から5時まで昼休みで、5時から8時までオープンといった感じである。日本では夜8時に観光はしないが、スペインでは普通。夜9時ぐらいが、日本の夕方5時か6時の感覚。
澤田:
歩いてる道は、慣れてくると山や谷があった方がよくなってくるんです。平地で、山がなくて、景色もなくて、ただただ、ずーっと歩いていくのは、つまんないですね。ガリシア地方は山が多く、すごくいいですよね。あと食事も地方によって、いろいろ変わってくるのがおもしろいですよ。

犯罪

編集F:
犯罪はどうですか?
澤田:
本を見ると、危険な目にあった人もいたようですけど、僕は全然、感じなかったですね。ないとは言えないでしょうけど、まあお金を沢山持たないことですね。
編集F:
そうですね、早朝からお昼までが活動の中心ですから、比較的安全ですよね。

病気

澤田:
僕の足のマメを治療したお医者さんは、たまたま、そのアルベルゲに来てたんですが無料でした。そのあと暫くして、リュックのせいか、肩がものすごく痛くて、息ができないぐらいになっちゃったんですね。困ってたら巡礼者のための診療所があるよって教えられたので、行ったら痛み止め薬をくれました。ここも無料でした。
編集A:
病気のときは、アルベルゲに相談せよ、ということですね。